薄付きの油絵の具は、水彩と見間違うほどです。井上絵画の謙虚な美しさは、絵を描くことに対して真摯に向き合い、培ってきた技量に裏打ちされています。虫が好きで、玉川上水を巡回しながら観察しているという井上の描く昆虫は、生き生きとして、不思議な美しさに満ちています。
キャンバス裏にタイトル、制作年、サインあり。
こちらの作品は、額装はされておりません。
本作品のお届け期間は1週間〜10日となります。
ABOUT 井上 実
井上実は1970年生まれ。東京造形大で絵画を専攻するが中退し、渡仏。帰国後も一貫して絵画制作を続けています。
井上の絵に対する真摯な姿勢は、そのまま作品に反映されていて、モチーフはどこにでもある、普段は目に止めることなどほとんどない草叢や、ベランダに置かれ、放置されたプランターの中の枯れた植物や昆虫ですが、嫌味がなく、崇高ささえ感じさせます。
それは、彼が可能な限り「意図」というもの排除し、絵を「作る」ことをせず「描く」ということに集中した結果の表れだと言えるでしょう。
20代はずっと「現代美術」というものに縛られ、なんとか自分のものにしようと奮闘してきましたが、上手くいかず、常に居心地の悪さを感じ続けていたと言う井上。そして開き直りにも似た気持ちで「作る」という「意図」を捨て、「描く」ことのみに集中したとき、初めて手応えを感じたと言います。以来、さらなる紆余曲折を経ながら自身の絵画を探求し続けています。
「現代美術」から離れたという井上ですが、現代では、一昔前の巨匠的な、作家性の強い芸術家像が希薄になり、作品における作家の主体性が解体してきています。その意味では、井上の絵画は非常に現代的だとも言えるのではないでしょうか。
BIOGRAPHY
1970年 大阪府生まれ
1992年 東京造形大学造形学部美術科Ⅰ類退学
1992-3年 フランス滞在
主な個展
2002年 exhibit speace Vision’s,東京
2003年 「project N 14」東京オペラシティアートギャラリー,東京
2004,5,7年 「岡村多佳夫企画16,19,21」 アユミギャラリー,東京
2006,9,11年 switch point,東京
2013年 プラザギャラリー,東京
主なグループ展
2007年 「井上実 天本健一展 -散歩と部屋-」 文房堂ギャラリー,東京
2008年 「第四回造形現代芸術家展 - 変換される視線」 東京造形大学付属横山記念マンズー美術館,東京
2011年 「KAITEKIのかたち」展 スパイラル,東京
2013年 「視触手考画説」 TOKYO ART MUSEUM,東京
2014年 「イタヅクシ」 See Saw gallery + cafe , 愛知県立芸術大学サテライトギャラリー,愛知
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