辰野登恵子
Toeko Tatsuno
辰野登恵子は、タイルの壁などから着想した格子状やストライプの線の連続と反復を基にして、線描の強弱や僅かな滲みなどにより生まれる形象化を、版画やドローイングなどに描き、当時のポスト・ミニマリズムの動向にも関心を寄せながら、絵画というメディアの復帰へ果敢に挑戦しています。
画面の中に描かれている特徴的なモチーフ(アラベスク・矩形の連鎖によるダイヤ形・方形・球形・雲形など)を、堅牢で厚目のテクスチュアを用い豊潤な色彩の有機的造形を描く独自の表現を追求しています。独創的な色彩と、豊穣な質感に立体的で重力感が加わった画面は、絵画でしか実現しえない空間造形をつくりあげています。
1995年には史上最年少の45歳で東京国立近代美術館での個展が開催され、翌年に第46回芸術選奨文部大臣新人賞を受賞、2013年に第54回毎日芸術賞を受賞するなど、今日の現代絵画を代表する画家です。